2017-05-26

ガラスを削ること

ガラスの作品作りでは、溶けたガラスの状態から 作品が完成するまでには 幾つかの工程があります。

1.最初は もちろん溶けた状態のガラスを巻き取って 柔らかいうちに 形を作る工程。

2.次は 出来上がった形が 崩れないように、また 割れてしまわないように(ガラスは急冷すると割れてしまいます) さわれる位まで適切に冷ます工程。

3.次は 必要があれば、ですが さわれる位まで冷めた状態で 底になる面等を削ったり 磨いたりする 工程です。

削ってできる線や面は、削るための機械とほぼ同じになるので、どちらかというと直線的で 硬い印象です。溶けた状態のガラスは 柔らかい自然な曲線を作ることができます。これまで 私は 溶けている状態のガラスを綺麗に扱うことを一番に考えて作品作りをしてきたように思います。一言で言ってしまえば 研磨加工 嫌いだったんです。

一方で、自分の作品作り以外の 勤務先の工房の仕事として、研磨加工の仕事をする機会が多いです。(これは会社員としての仕事なので嫌いと言って済ますことは出来ません)
でも 苦手なりに 数をこなすうちに発見もたくさんありました。

話は少し変わりますが、ガラスは 急に熱したり、急に冷ましたりすると割れてしまいますが、さわれる位まで冷めたガラスも ゆっくり加熱していくと 割れずに 柔らかくすることができます。もちろん形を変えることもできます。

先のリストに書き加えると、

4.ゆっくりと 加熱して 柔らかくする。

5.成形する。

6.再度 出来上がった形が 崩れないように、割れてしまわないように、さわれる位まで適切に冷ます。

という 作品作りも可能になります。
1. から3. までと、1. から 6. までで何が違うのかというと、削って作った形は、もう一度柔らかくした状態で成形しても かなり残るので、1. から 3. までよりも作れる 形や質感 のバリエーションが 増えます。それと 研磨加工した部分の 直線的な硬い印象が、再加熱して ガラスが少し動く位までとかすことで、 かなり柔らかい印象になると思っています。

工程が倍くらいに増えるので、ひとつの作品が仕上がるまでは 結構大変になりますが、やってみると1. から3. まででは出来ない物を作ることが出来そうな感じがしています。
研磨加工が、”苦手で嫌い” だったのが、”苦手だけど ちょっと面白い” に変わったわけです。
実際にこのアイデアで、もう試作まで済んでいる作品もあります。
そのコンセプトは、”カチッとした硬い形” の綺麗さ と ”柔らかくゆるい形” の綺麗さの中間の綺麗さを作ることです。早く実際に作りたいです。

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